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発泡スチロールのような愛 3

「腕に飼われた海月は海を知らないから懐かしまないでいいよね、知ってしまったら悲しくてなげいてしまう」確かにそうだと思った。あの二匹の海月は海を知らないから海に帰ることもない。その腕の水槽の中で毎日ささやかれる愛にこたえるかのように泳ぎ続けている。心臓が拍動するように、膨らんでみたり萎んでみたりする。だんだんとその拍動が弱まって最後は白くにごって動きをとめてしまう。それでもその動かなくなった海月たちに愛をささやいてもらうことで私は生き延びる。お互いが延命治療をするかのように傷つけあう、傷つけるかのように延命治療をしあう。だって海月たちは光を放っているから。自らの行く先を示すにはたりないけど、自らの存在を示すことは出来るくらいのわずかな光を。人さまに迷惑と珈琲をかけてはいけないように、その海月たちには炭酸水をかけてはいけない。

 

「今日も1日愛しています」
「はい、こちらも今日も1日愛しています」
という発泡スチロールのような愛。